最新作『リメンバー・ミー』は全てが素晴らしいピクサー映画史上の最高傑作の予感 / 主題歌はとっても重要な意味が…【最新シネマ批評】


【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が最新映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、レビューをします。

今回ピックアップするのは、第90回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したディズニー/ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』2018年3月16日公開)です。

本作の監督は『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ。『トイ・ストーリー』シリーズの中でも最高傑作と言われる『3』の監督が手掛けた新作ですよ! これは期待が高まるでしょう。さっそく物語からご紹介していきます。

【物語】

舞台はメキシコ。音楽好きの少年ミゲルでしたが、家では絶対に音楽禁止! だからミゲルはこっそり音楽を楽しんできましたが、見つかると家族にものすごい勢いで怒られてしまうのです……。

亡くなった先祖の魂を迎える「死者の日」。音楽のことで家族と衝突したミゲルは、憧れのミュージシャン、エルネスト・デラクルスが祀られている場所へ行き、そこに飾られていたデラクルスのギターを手にします。

するとなんと、一瞬のうちにミゲルは「死者の国」へ! そこから祖先と家族を繋ぐ、ミゲルの冒険が始まるのです。

【ピクサー映画史上の最高傑作かも!】

『リメンバー・ミー』は、見る前から各映画賞レースを席巻していたので、私はかなりハードルを上げて見たのですが、そのハードルを大きく上回る大感動!

家族の絆がテーマの映画は数多くありますが、音楽、死者、祖先で家族を描き、なおかつユーモアと構成の妙で、最初から最後まできっちり楽しませるとは。ピクサーの魔法来たよ~!と思いましたね。

【ミゲル一家の秘密】

ミゲル一家の音楽嫌いの理由は早々にわかります。音楽家だったひいひいおじいちゃんが音楽に夢中になるあまり、家族を捨てて出て行ったのです。家族の絆が堅いメキシコのファミリーにとって、絆を自ら断ち切るのは言語道断! そのせいで、ミゲルの家は音楽禁止となったのですね。

しかし、ミゲルは過去の写真で見つけたギターに驚きます。ひいひいおじいちゃんのギターは、伝説の音楽家デラクルスのと同じ。てことは……ひいひいおじいちゃんはデラクルス!?

【ミゲルとヘクターのバディムービー】

ミゲルは「死者の日」にデラクルスのギターをさわったことによって「死者の国」へ飛びますが、そこで出会ったのがガイコツのヘクター。彼はミゲルのよき相棒になります。

実はヘクター、現世の家族が誰も写真を飾ってくれない気の毒なガイコツ。このまま家族に無視されると、死者の国からも消えてしまう運命を背負っていました。

そこでミゲルは提案をします。自分はひいひいおじいちゃんに会って、音楽の許しを得たい。ヘクターは現世の家族に思い出してもらいたい。だから「お互いの目標を叶えるために協力しあおうよ!」と。そこからミゲルとヘクターの冒険がスタートするんです。

ちなみに「死者の国」に行っても、全然怖がらないミゲル。何しろこの映画の「死者の国」はディズニーランド級のカラフルさですからね!

現世と死者の国を繋ぐ橋がマリーゴールドのお花でできていたり、死者の国でもスター扱いのデラクルスは豪華な家に住んでいたり。後半のハイライトに登場するライブステージも華やかで、本当に楽しいです。

人々のガイコツの顔も、愛嬌があるからウェルカムですよ。これなら小さなお子さんが見てもOK。怖くて泣くことはないでしょう。

【後半はドンデン返しの連続と感動の涙】

物語の後半はドンデン返しとスリルの連続です! ヘクターとデラクルスの関係にはミゲルの祖先の秘密が隠されていたり、「音楽は絶対に禁止!」と叫ぶ死者の国のひいひいおばあちゃん・イメルダの特技に秘話があったり……。

ひとつひとつが明らかになるたびに「え~!」という驚きと同時に、感動がドドドと押し寄せてくるんですよ。

観客はミゲルと一心同体になって「そうだったのか!」「なんとかしなくちゃ」と、気持ちが忙しくバクバクします。そのスリリングな展開はジェットコースターレベル。ミゲルの身に起こるピンチの連続には、映画館の椅子に座っていられないほど興奮しますが、そのあと感動が待っているという……にくい演出だ!

そして極め付けは、主題歌「リメンバー・ミー」ですよ。この歌をミゲルがある人に向けて歌うのですが、そのシーンはこの映画最大の涙腺大崩壊シーンなのでハンカチのご用意を!

【自分の人生は祖先から繋がっている】

日ごろ、祖先のことを考えることはそうないけど、本作を見て、私は自分の性格や生き方、環境全てに影響を与えているのを感じました。

両親、祖父母、ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんなど、遠い祖先がいて今の自分がある。家族の繫がりを改めて熱く感じさせてくれる映画『リメンバー・ミー』。

ちなみに原題は、ミゲルのひいおばあちゃんの愛称『COCO』なのですが、日本語タイトルの『リメンバー・ミー』の方が、この映画がいちばん語りたいことを表現していると思いました。いいタイトルですね!

 

執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『リメンバー・ミー』
(2018年3月16日より、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー)
監督:リー・アンクリッチ
声の出演:アンソニー・ゴンサレス、ガエル・ガルシア・ベルナル、ベンジャミン・ブラット、アラナ・ユーバック、レニー・ヴィクター、ハイメ・カミル、アナ・オフェリア・ムルギア、ナタリア・コルドバ=バックリー、ソフィア・エスピノーサ
日本語吹替え版/出演:石橋陽彩(いしばしひいろ)、藤木直人、松雪泰子、横山だいすけ、橋本さとし、渡辺直美、恒松あゆみ、高柳明音ほか
(C) 2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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【おちゃめ】マコーレー・カルキンの「アカデミー賞を観る代わりに〇〇しているよ」シリーズが最高! タキシード姿でラーメンを作ったりゲームを楽しんだり…

現地時間2018年3月4日にアメリカ・カリフォルニア州ハリウッドで開催された、第90回アカデミー賞。名だたる俳優や著名な監督、作品づくりを支えるスタッフが集結した、いわば “映画人にとっての紅白歌合戦” のようなこの日に、ツイッターでひそかに話題になっていた人物がいるんです。

その人物とは、マコーレー・カルキンさん。世界的な大ヒット作『ホーム・アローン』シリーズに子役として出演、一世を風靡したことはみなさんの記憶にも残っていることと思います。

しばらく表舞台から姿を消していたカルキンさんですが、最近は再び映画界にカムバックし、俳優活動を続けている模様。

現在37歳だというカルキンさんが、一体なぜ話題になっていたのかというと……。

【兄さん、なにがしたいんすか】

アカデミー賞当日、カルキンさんはラーメンを作ったり、ギターを弾いたりペディキュアを塗ったりと、1人遊びを楽しむ様子を延々ツイッターへ投稿し続けていたのです。しかもなぜか、タキシード姿で。

「アカデミー賞を観る代わりに、〇〇しているよ」

カルキンさんはこの定型文に自分の行動を当てはめて、ツイッターへ連続投稿。先に挙げたもの以外にも「お人形とミニカーで1人遊び」「テレビゲーム」といったものがありました。……ってか、カルキンさん、あなた一体なにしてるんすか~!

【カルキンさん「ショーは観ない、でもツイッターでつぶやきまくる」】

実はツイッターの連続投稿をする前に、カルキンさんは「今日はアカデミー賞についてつぶやく。でも観るつもりはない。ショーを観る代わりにボクは何をしたらいいと思う?」とフォロワーに問いかけていて、その後も「マジでショーは観てないよ」と念押ししていたんです。

しかしツイートをすべて辿ってみれば、カルキンさんのこの日のタイムラインはアカデミー賞関連のつぶやきばかり。言葉とは裏腹に、がっつりチェックしているようにも感じられるほどでした。

カルキンさんは、その後もアカデミー賞についてさらなる言及を続け、受賞作品や出席した俳優たちに対して辛口コメントを連発。昨年からハリウッドを騒がせているセクハラ問題をバンバン皮肉るなど、約5時間にわたって饒舌につぶやきまくっていたのでした。

【斬新すぎる試みでした】

絶対に観ないけど、気になって仕方がない。まるで「好きな子にアプローチしたいけど意地悪しちゃう小学生男子」のような複雑さには首をひねるばかりですが、そう遠くない未来にぜひとも、授賞式の会場でその姿を観たいものですね……!

参照元:Twitter @IncredibleCulk
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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アカデミー賞ノミネート作品をパロディーし続ける3姉妹が可愛すぎる♡ 『スリー・ビルボード』や『ダンケルク』など話題作を熱演

第90回目となるアカデミー賞の発表が、2018年3月5日に行われます。

ノミネートされている数々の話題作をフィーチャー、名シーンをパロディーした写真作品を撮り続けているのは、アメリカに住む写真家のマギー・ストリーノ(Maggie Storino)さん。モデルを務めているのはマギーさんの幼い娘たち3人で、2011年からスタートした試みは今年で8年目を迎えるんです。

「Don’t Call Me Oscar」と題されたプロジェクトにはホームページと公式インスタグラムがあって、こちらから作品を見ることができます。

【作品賞にノミネートされた作品をパロディー】

2018年版として公開されているのは、最多13部門でノミネートされているギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』に、 マーティン・マクドナー監督の『スリー・ビルボード』

Instagram Photo

日本でもヒットしたクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』。アカデミー賞5部門にノミネートされたグレタ・ガーウィグ監督による青春映画『レディー・バード』

Instagram Photo

さらにはデビュー作にして全米の話題をかっさらった、ジョーダン・ピール監督のサプライズスリラー映画『ゲット・アウト』などなど、本家アカデミー賞にノミネートされている作品をテーマにしたパロディー写真がずらりと並んでいます。

Instagram Photo

【まだまだ幼い姉妹たちの名演をご覧あれ!】

ストリーノ家3姉妹の年齢は、上から7歳(ソフィアちゃん)、5歳(サディーちゃん)、2歳 (スローンちゃん)。マギーさんは「まさか8年目になるだなんて信じられない」と海外サイト「Mashable」に語っています。この3姉妹は、生まれたときからプロジェクトに参加しているわけですね。

この撮影が、すっかり “家族で過ごす休日” の恒例イベントとなっているようで、ストリーノ家にとってはこれが日常、そしてライフワーク!

【水中での撮影では苦労したみたい】

マギーさんたちが今回特に苦労したのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』をテーマにした撮影。水の中で幻想的な写真を撮らなければならず、地元のプールを借りて水泳の練習に励んだといいます。

長女のソフィアちゃんは、占いやお告げをしてくれるオモチャ「マジック8ボール」に撮影がうまくいくかどうか相談までしていたようなのですが、結果どうなったのかは作品をご覧になっていただければ一目瞭然。完璧な仕上がりとなっております~!

個人的には、『スリー・ビルボード』に挑戦したサディーちゃんの鋭い視線がツボです。映画の主演を務めるフランシス・マクドーマンドさんにも負けず劣らずの演技を見せてくれているので、ぜひご注目を☆

参照元:Don’t Call Me OscarInstagram @dontcallmeoscarMashable
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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アカデミー賞ノミネート作品をパロディーし続ける3姉妹が可愛すぎる♡ 『スリー・ビルボード』や『ダンケルク』など話題作を熱演

第90回目となるアカデミー賞の発表が、2018年3月5日に行われます。

ノミネートされている数々の話題作をフィーチャー、名シーンをパロディーした写真作品を撮り続けているのは、アメリカに住む写真家のマギー・ストリーノ(Maggie Storino)さん。モデルを務めているのはマギーさんの幼い娘たち3人で、2011年からスタートした試みは今年で8年目を迎えるんです。

「Don’t Call Me Oscar」と題されたプロジェクトにはホームページと公式インスタグラムがあって、こちらから作品を見ることができます。

【作品賞にノミネートされた作品をパロディー】

2018年版として公開されているのは、最多13部門でノミネートされているギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』に、 マーティン・マクドナー監督の『スリー・ビルボード』

Instagram Photo

日本でもヒットしたクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』。アカデミー賞5部門にノミネートされたグレタ・ガーウィグ監督による青春映画『レディー・バード』

Instagram Photo

さらにはデビュー作にして全米の話題をかっさらった、ジョーダン・ピール監督のサプライズスリラー映画『ゲット・アウト』などなど、本家アカデミー賞にノミネートされている作品をテーマにしたパロディー写真がずらりと並んでいます。

Instagram Photo

【まだまだ幼い姉妹たちの名演をご覧あれ!】

ストリーノ家3姉妹の年齢は、上から7歳(ソフィアちゃん)、5歳(サディーちゃん)、2歳 (スローンちゃん)。マギーさんは「まさか8年目になるだなんて信じられない」と海外サイト「Mashable」に語っています。この3姉妹は、生まれたときからプロジェクトに参加しているわけですね。

この撮影が、すっかり “家族で過ごす休日” の恒例イベントとなっているようで、ストリーノ家にとってはこれが日常、そしてライフワーク!

【水中での撮影では苦労したみたい】

マギーさんたちが今回特に苦労したのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』をテーマにした撮影。水の中で幻想的な写真を撮らなければならず、地元のプールを借りて水泳の練習に励んだといいます。

長女のソフィアちゃんは、占いやお告げをしてくれるオモチャ「マジック8ボール」に撮影がうまくいくかどうか相談までしていたようなのですが、結果どうなったのかは作品をご覧になっていただければ一目瞭然。完璧な仕上がりとなっております~!

個人的には、『スリー・ビルボード』に挑戦したサディーちゃんの鋭い視線がツボです。映画の主演を務めるフランシス・マクドーマンドさんにも負けず劣らずの演技を見せてくれているので、ぜひご注目を☆

参照元:Don’t Call Me OscarInstagram @dontcallmeoscarMashable
執筆=田端あんじ (c)Pouch

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アカデミー賞候補作『シェイプ・オブ・ウォーター』は半魚人と女性の純愛物語…しかし好き嫌いが分かれる作品かも【本音レビュー】


【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、ギレルモ・デル・トロ監督作『シェイプ・オブ・ウォーター』(公開中)。本年度のアカデミー賞で13部門にノミネートされている超話題作です。

デル・トロ監督の映画は『パンズ・ラビリンス』のようなダーク・ファンタジーもあれば、『パシフィック・リム』のようなSFアクション映画もあります。けれども、一貫してリアリティの逆をいき、スクリーンに魔法をかけることのできる監督です。

しかし美麗なだけではなく、ホラーな面も垣間見られるのが特徴。映画『シェイプ・オブ・ウォーター』も同様で、異形なものとの恋愛を描いた美しいダークロマンスなのです。(以下、ネタバレを含みます!)

【物語】

声を発することができないイライザ(サリー・ホーキンス)は、アメリカ政府の機密機関である航空宇宙開発センターで清掃の仕事をしています。そこに研究材料としてアマゾンの奥地から ”不思議な生き物”(ダグ・ジョーンズ)が運ばれてきました。

イライザはその ”不思議な生き物”に興味が沸き、たびたび会いに行きます。手話を教えながらコミュニケーションを取るうちに、特別な気持ちが芽生えていくイライザ。

そんなとき、威圧的な軍人のストリックランド(マイケル・シャノン)は、”不思議な生き物” を虐待したあげく、生体解剖をすると宣言。イライザは「彼を救わねば!」と、”不思議な生き物” を研究室から運び出そうとするのです。

【美しい世界に映し出される異形】

最初に ”不思議な生き物” を見たとき、私は正直、「ヒロインはこの半魚人と恋愛するの?」とギョッとしました。

人間らしいのはその体の輪郭のみ。魚みたいな目、ウロコの皮膚、ヌメっとした肌の質感、小さな口は人間と魚の中間にあるようで、半魚人が実在したら、こうだろうと思えるようなリアルさだったからです。

でも映像は素晴らしく、冒頭の水中シーンからヴィジュアルで心をわしづかみにされます。だからこそ ”不思議な生き物” のリアル半魚人が余計グロテスクに映るのです。この完全なる美の中に異物が紛れ込んだ世界観が、まさにデル・トロ作品なのでしょう。

【ありのままを愛する心を共有するカップル】

イライザと ”不思議な生き物” は運命の出会いだったのだと思います。イライザはずっと彼のような人を待っていたのです。

言葉を失い、他者との意思の疎通が難しい彼女は、恋愛をほぼ諦めていたはず。そこに現れたのが、”不思議な生き物”の彼。イライザと同じように言葉を持たない彼とアイコンタクトで通じ合い、彼女が手話を教えることで、二人は徐々に距離を縮めていきます。

人間の世界に引きずり込まれ、孤独かつ傷つけられていた彼にとって、イライザは女神だったでしょう。そして彼女にとっても、”不思議な生き物”の存在は喜び。だって初めてありのままの自分を受け入れ、愛してくれる人と出会えたのですから。

二人が心を通い合わせていく姿を見ているうちに、だんだん”不思議な生き物”のヴィジュアルが気にならなくなってきました。「イライザに幸福になって欲しいな」と祝福の気持ちが沸き上がってくるのです。

【二人の愛を阻むのはドス黒い人間の野心】

これまでも異形との愛を描いた映画は多くありました。『美女と野獣』や『シザーハンズ』、『オペラ座の怪人』『トワイライト』『ぼくのエリ 200歳の少女』など。

でも、これらのラブストーリーは、片方が異形であることが周囲にバレたり、異形であることで差別を受けたり、身を隠していたりという障害がありました。

本作の二人の障害は、ひとりの人間です。それは ”不思議な生き物” を生体解剖して、自分のキャリアに利用しようとする鬼軍人ストリックランド(マイケル・シャノン)。この男が人間の膿を濃縮させたような嫌な男で、”不思議な生き物”を虐待して楽しみ、イライザにも差別的なセクハラ発言をして本当に下品で腹が立つ男なんですよ!

あるとき、ストリックランドは ”不思議な生き物”に虐待の報復をされて指を負傷するのですが、この指がどんどん真っ黒に変色していくのです。指が腐っていくのに従って、男の心もどんどん腐り、”不思議な生き物”を追いこんでいく……。

イライザと ”不思議な生き物” の愛が純粋ゆえに、この男のドス黒さは強烈です。

【異形の世界で愛を成就する新しいラブストーリー】

イライザは、ストリックランドに追われる ”不思議な生き物”を逃がすために彼を連れて運河へ向かいます。”不思議な生き物” とのお別れを予感させますが、この映画が凄いのはここからです。

イライザは異形の彼との運命を選択するのです。水の中で彼との愛を貫くんですよ。

ストリックランドとの追いつ追われつのスリル、銃撃戦で血まみれなど壮絶なシーンのあとにやってくる、本作でいちばん美しく異色なラブシーンには完全に心を持っていかれましたね。完璧。

アカデミー賞13部門候補にも納得! デル・トロ監督にしか作りだせない異形と女性による大人のおとぎ話は、大人の女性にこそオススメです。




執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『シェイプ・オブ・ウォーター』
(2018年3月1日より、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー)
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スタールバーグ、オクタヴィア・スペンサーほか
(C)2017 Twentieth Century Fox

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アカデミー賞最有力映画『スリー・ビルボード』はモンスターママの怒りが爆発! 予測不能な展開に震えが止まらない【本音レビュー】

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、アカデミー賞最有力といわれる『スリー・ビルボード』(公開中)です。作品賞、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、助演男優賞(ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル)、脚本賞、編集賞など主要部門にノミネートされており、全米大絶賛の作品。日本公開後のレビューも好評です。

母の復讐劇かと思ったら、その母が凶暴過ぎてビックリ。物語が展開するたびに「え~!」ってことが起こる、予測不可能な映画なのです。(以下、ネタバレを含みます!)

【物語】

アメリカのミズーリの田舎町の道路に並んだ3枚の看板。そこには「レイプされて死亡」「なぜ? ウィロビー署長」「犯人逮捕はまだ?」というメッセージがありました。

このメッセージ広告を出したのは、主婦のミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)。広告を出した理由は、自分の娘がレイプされて殺されたのに犯人は捕まる気配がないため、業を煮やし、広告で警察を急かしたのです。

ところがこれをきっかけに、ミルドレッドと家族、警察官たち、広告会社のスタッフの間で大騒動が起こるのです。

【娘を殺されたヒロインが、いつのまにかモンスターママに!】

愛する娘を殺され、犯人が捕まらないまま月日が流れていくことに耐えられないミルドレッド。最初は私も可哀想だと思っていました。娘が亡くなる前日、車を貸してくれという娘にNOと言ったために、売り言葉に買い言葉で喧嘩別れしたまま、娘を失ったのですから。母親としては、辛いですよねえ。

しかし、彼女の怒りの矛先が警察へ向かい「なんで犯人捕まえられないのよ、このポンコツがっ!」みたいな怒りのまま広告を出してから、事態は変わります。

警察がそんなホイホイと事件を解決できるわけがなく、「努力しているが、すべてがうまくいくとは限らない」と署長に説得されても、ミルドレッドは聞く耳を持たず、悪態をつきまくるのです。

町中の尊敬を集める署長を批判しまくるミルドレッドに対して、町の人は怒り心頭。それに対する彼女の怒りのボルテージも上昇しっぱなし。

嫌がらせや抗議を受けても、一歩も引かないどころか、自分に刃向う者を次々叩き潰していくように。可哀想な母親ではなく、乱暴で恐ろしいモンスターママ化していくんです!

【凶暴でおバカな不良警官も登場】

一方、警察には、ディクソンというやる気のない不良警官(サム・ロックウェル)がいるのですが、彼が唯一尊敬しているのが署長です。

そんな署長を侮辱するような広告を出されて、怒りに燃えたディクソンは「広告を引き上げろ!」と、広告社のレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に訴えます。

しかし受け入れられないと知るや「引き上げないならこうしてやる!」と、レッドをボコボコにして病院送りにしてしまうのです。警官なのに、なんてこと!

ディクソンも、ミルドレッドに負けず劣らず、わけのわからない凶暴さがあり最悪。レッドが気の毒でたまりません……。

【「なんでこうなるの?」という展開に驚き】

そんな風にミルドレッドとディクソンがどんなに暴れても、署長は常に平常心。実は署長は大病を抱えていて、自分の命に不安がありました。気がかりなことはたくさんありますが、そのひとつが部下のディクソン。彼はディクソンに前向きになれるような手紙を残します。

署長を尊敬しているディクソンは、あんなにおバカで仕事できなかったのに、手紙を読んで感動。ミルドレッドの娘の事件を本格的に捜査しようと動き出すのです。

しかし、その矢先にミルドレッドの警察への攻撃に巻き込まれてしまい、またもや「えー!」ですよ。この映画は始まってから最後まで、ずーっと「なんでこうなるの?」の連続なんです。

【怒りから幸福は生まれない】

ミルドレッドと警察とのエピソード以外にも、ミルドレッドと元夫&息子とのエピソードもあり、これも一筋縄ではいきません。本作は「めでたしめでたし」のカタルシスを感じる映画ではないのです。

人生を左右する出来事と対峙したとき、人は変わるのか、また怒りはどう発動され、その頂点はどこにあるのか……と、ミルドレッドの行動を見ながら考えました。そして一つだけわかったことは、怒りから幸福は生まれないということです。

ラストにも「そういう終わり方なの?」という驚きがありますが、笑えるシーン、泣けるシーン、胸がしめつけられるシーンも。

「こうなるであろう」というこちらの想像をはるかに飛び越え、あぜん、ぼうぜんとなってしまう展開で、観客の感情を揺さぶるオリジナリティがハンパない。本当に凄い映画です。

映画で刺激を得たい人に超おすすめ。モンスターママの凄味をスクリーンでぜひご覧ください!



執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『スリー・ビルボード』
(2018年2月1日より、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー)
監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ルーカス・ヘッジズほか
(C)2017 Twentieth Century Fox

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アカデミー賞最有力映画『スリー・ビルボード』はモンスターママの怒りが爆発! 予測不能な展開に震えが止まらない【本音レビュー】

【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、アカデミー賞最有力といわれる『スリー・ビルボード』(公開中)です。作品賞、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)、助演男優賞(ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル)、脚本賞、編集賞など主要部門にノミネートされており、全米大絶賛の作品。日本公開後のレビューも好評です。

母の復讐劇かと思ったら、その母が凶暴過ぎてビックリ。物語が展開するたびに「え~!」ってことが起こる、予測不可能な映画なのです。(以下、ネタバレを含みます!)

【物語】

アメリカのミズーリの田舎町の道路に並んだ3枚の看板。そこには「レイプされて死亡」「なぜ? ウィロビー署長」「犯人逮捕はまだ?」というメッセージがありました。

このメッセージ広告を出したのは、主婦のミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)。広告を出した理由は、自分の娘がレイプされて殺されたのに犯人は捕まる気配がないため、業を煮やし、広告で警察を急かしたのです。

ところがこれをきっかけに、ミルドレッドと家族、警察官たち、広告会社のスタッフの間で大騒動が起こるのです。

【娘を殺されたヒロインが、いつのまにかモンスターママに!】

愛する娘を殺され、犯人が捕まらないまま月日が流れていくことに耐えられないミルドレッド。最初は私も可哀想だと思っていました。娘が亡くなる前日、車を貸してくれという娘にNOと言ったために、売り言葉に買い言葉で喧嘩別れしたまま、娘を失ったのですから。母親としては、辛いですよねえ。

しかし、彼女の怒りの矛先が警察へ向かい「なんで犯人捕まえられないのよ、このポンコツがっ!」みたいな怒りのまま広告を出してから、事態は変わります。

警察がそんなホイホイと事件を解決できるわけがなく、「努力しているが、すべてがうまくいくとは限らない」と署長に説得されても、ミルドレッドは聞く耳を持たず、悪態をつきまくるのです。

町中の尊敬を集める署長を批判しまくるミルドレッドに対して、町の人は怒り心頭。それに対する彼女の怒りのボルテージも上昇しっぱなし。

嫌がらせや抗議を受けても、一歩も引かないどころか、自分に刃向う者を次々叩き潰していくように。可哀想な母親ではなく、乱暴で恐ろしいモンスターママ化していくんです!

【凶暴でおバカな不良警官も登場】

一方、警察には、ディクソンというやる気のない不良警官(サム・ロックウェル)がいるのですが、彼が唯一尊敬しているのが署長です。

そんな署長を侮辱するような広告を出されて、怒りに燃えたディクソンは「広告を引き上げろ!」と、広告社のレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に訴えます。

しかし受け入れられないと知るや「引き上げないならこうしてやる!」と、レッドをボコボコにして病院送りにしてしまうのです。警官なのに、なんてこと!

ディクソンも、ミルドレッドに負けず劣らず、わけのわからない凶暴さがあり最悪。レッドが気の毒でたまりません……。

【「なんでこうなるの?」という展開に驚き】

そんな風にミルドレッドとディクソンがどんなに暴れても、署長は常に平常心。実は署長は大病を抱えていて、自分の命に不安がありました。気がかりなことはたくさんありますが、そのひとつが部下のディクソン。彼はディクソンに前向きになれるような手紙を残します。

署長を尊敬しているディクソンは、あんなにおバカで仕事できなかったのに、手紙を読んで感動。ミルドレッドの娘の事件を本格的に捜査しようと動き出すのです。

しかし、その矢先にミルドレッドの警察への攻撃に巻き込まれてしまい、またもや「えー!」ですよ。この映画は始まってから最後まで、ずーっと「なんでこうなるの?」の連続なんです。

【怒りから幸福は生まれない】

ミルドレッドと警察とのエピソード以外にも、ミルドレッドと元夫&息子とのエピソードもあり、これも一筋縄ではいきません。本作は「めでたしめでたし」のカタルシスを感じる映画ではないのです。

人生を左右する出来事と対峙したとき、人は変わるのか、また怒りはどう発動され、その頂点はどこにあるのか……と、ミルドレッドの行動を見ながら考えました。そして一つだけわかったことは、怒りから幸福は生まれないということです。

ラストにも「そういう終わり方なの?」という驚きがありますが、笑えるシーン、泣けるシーン、胸がしめつけられるシーンも。

「こうなるであろう」というこちらの想像をはるかに飛び越え、あぜん、ぼうぜんとなってしまう展開で、観客の感情を揺さぶるオリジナリティがハンパない。本当に凄い映画です。

映画で刺激を得たい人に超おすすめ。モンスターママの凄味をスクリーンでぜひご覧ください!



執筆=斎藤 香 (C) Pouch

『スリー・ビルボード』
(2018年2月1日より、TOHOシネマズ日本橋ほか全国ロードショー)
監督:マーティン・マクドナー
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ルーカス・ヘッジズほか
(C)2017 Twentieth Century Fox

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故郷ですべてを失った男が心の傷に向きあう姿に涙腺が崩壊…マット・デイモンがプロデュースした傑作『マンチェスター・バイ・ザ・シー』【最新シネマ批評】


【最新シネマ批評】
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、2016年度アカデミー賞主演男優賞と、脚本賞を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2017年5月13日公開)です。

ケイシー・アフレックが演ずる、故郷に帰って来たひとりの男の人生を描いた作品で、とてつもない大きな感動を呼び起こす人間ドラマになっています。では、まず物語から。

【物語】

ボストンで便利屋をやっているリー(ケイシー・アフレック)は、周囲の人から無愛想な変わり者だと思われながらひとり暮らしをしていました。そんな彼のもとに故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄(カイル・チャンドラー)が倒れたという知らせが入り、リーは帰郷します。

心臓病と闘っていた兄は亡くなり、彼は兄の遺言を受け取りました。そこには兄の息子パトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人がリーであることが記されており、リーは驚き、断ろうとします。パトリックは叔父のリーといることを望みますが、リーにはこの街で暮らせない理由があったのです。

【すべてを失った過去の過ち】

映画が始まっていきなり無愛想なリーが登場します。仕事はテキパキできるけれど、愛想もやる気もなく、酒を飲むとケンカをするしょーもない男です。彼はずっと孤独だったように見えますが、実はそうではありません。兄の死をきっかけに故郷に戻ったとき、リーはこの町で過ごした日々を回想します。

昔は明るく、友だちとふざけてばかりいる男でした。妻(ミシェル・ウィリアムズ)と可愛い娘2人と息子1人がいて、家族をとても愛する男でした。そんなリーが「なぜ変わってしまったのか」。その理由は彼の過ち。誰にでも起こりうることなのですが、人生を崩壊させる引き金となってしまったのです。

【心の傷の深さは本人にしかわからない】

この映画は、リーが辛い過去と向き合う映画です。亡くなった兄、元妻、町の人達は、みんなリーのことを心配し、関係者はみんな彼の過ちを許そうとします。兄の死と甥っこの存在は、リーに人生の再スタートを切らせようとするのですが、心の傷の深さは本人にしかわかりません。再生できる傷なのか、一生癒えない傷なのか、それを決めるのは自分自身。

リーは過去から逃げていましたが、その過去と向き合い、後半、ついに自分の気持ちを語る日がやってきます。その瞬間はおそらくこの映画のハイライト。私は涙腺が崩壊し、一生忘れられないシーンになりました。

【甥っ子のユーモアが主人公を支える】

しかし、心に傷を負っているのはリーだけじゃなく、父を亡くしたパトリック、出て行ったパトリックの母、リーの元妻、みんな心の傷を抱えて乗り越える術を探しながら生きています……と、ここまで読むと「どんだけ暗い話?」と思われるでしょうが、安心してください。リーの甥っ子パトリックがこの映画の光です。

アイスホッケー部で活躍する高校生、モテモテで二股かけています。ダサいバンドを組んでいて、その練習風景がおかしく、パトリック&彼女、リー&彼女のママ、この4人の関係にもニヤニヤさせられます。

そんな風に本作には、悲しみの中にも一筋のユーモアがあり、それが寒そうな町とリーの心に灯を点しているのです。

【マット・デイモンがケイシー・アフレックにチャンスを与えた!】

実はこの映画、マット・デイモンが監督で主演をする予定でしたが、スケジュールの都合で不可能になったため、監督を脚本担当のケネス・ロナーガンに任せ、マットの親友ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックを主演に抜擢したのです。

マットはプロデューサーのみの参加でしたが「力ある役者と脚本と演出によって、忘れられない映画になった」と語っています。

五月病でなんとなくやる気がなくなったり、モヤモヤしたりしがちな季節ですが『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を見ると、みんな様々な事情があり、もがき苦しみながらも人生を歩んでいることがわかります。「とりあえず前を向こう、そして歩いて行こう」そんな気持ちになれる素晴らしい作品です。

執筆=斎藤 香 (c) Pouch

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
(2017年5月13日より、シネスイッチ銀座他、全国ロードショー)
監督&脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、グレッチェン・モル、ルーカス・ヘッジズほか
(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

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【激レア動画】とりあえず見て!! 『美女と野獣』作曲家アラン・メンケンがメドレー形式で生演奏する動画が感動的!


4月21日(金)に公開予定のディズニー実写版映画『美女と野獣』。ストーリーもさることながら、観る者の心を揺さぶる音楽の数々も作品の大きな魅力です。

手がけたのは、『美女と野獣』のほかにも『アラジン』『リトル・マーメイド』などディズニー作品でアカデミー賞を8回受賞しているという天才作曲家アラン・メンケン

まさに“ディズニー音楽の神”ともいえる彼が先月、監督のビル・コンドンとともに来日し、記者会見の場に登場。なんと自身がピアノの前に座り、『美女と野獣』の楽曲を豪華メドレーで生演奏しちゃったんです! これ、贅沢すぎるでしょ……!!

【巨匠みずからが演奏!】

アラン・メンケンは新曲3曲を含む映画の楽曲を披露。「朝の風景」「ひとりぼっちの晩餐会」「強いぞ、ガストン」「美女と野獣」「時は永遠に」「ひそかな夢」をピアノで弾き、歌いました。

できればその場で観たかった。目の前でその演奏に聴き惚れたかった! ……のはやまやまですが、それが叶わなかった私たちのために、ディズニーのFacebookページでその際の動画が公開されています。

これがとっても感動的。これまで映画のキャストなどが歌うものしか耳にしたことがない人も多いかと思いますが、実際に作曲した巨匠によるピアノ演奏と歌はまた格別に心に響くものがあります。

【皆さんもぜひご覧あれ!】

パソコンのモニター越しにもその素晴らしさが伝わってくるアラン・メンケンの生演奏動画。夢の世界へといざなってくれるひとときを皆さんもどうぞ堪能して。そしてきっと、聴き終わるころには映画の公開がさらに待ち遠しくなっているに違いありません!

参照元:FacebookDisney Movie
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch

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なぜ映画「ムーンライト」はアカデミー賞を受賞したの?と思う人に送る!! 映像・物語・役者など全ての才能があふれでた作品なのです


【公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、第89回アカデミー賞作品賞、最優秀助演男優賞を受賞した『ムーンライト』(2017年3月31日公開)です。貧しい黒人青年の半生を3部作で綴った映画で、同じ人物を3人の俳優が演じています。なんと撮影期間は25日という驚異の傑作。では物語からいってみましょう。

【物語】

第一部:シャロン(アレックス・ヒバート)はイジメられっ子。母(ナオミ・ハリス)はドラッグ中毒で荒れており、居場所のない彼が廃墟の中で閉じこもっていると、フアン(マハーラシャ・アリ)が声をかけてきます。シャロンは彼に心を開いていきます。

第二部:高校生になったシャロン(アシュトン・サンダーズ)は、あいかわらずいじめられ、母は変わらずドラッグ中毒です。しかし、シャロンは恋をしていました。相手は幼なじみのケヴィン(アンドレ・ホランド)。二人は気持ちを通わせあいますが、その後、学校で事件が起こるのです。

第三部:大人になったシャロン(トレヴァンテ・ローズ)は、麻薬の売人になっていました。それなりに裕福ですが昔のまま、孤独です。その彼にケヴィンから連絡が。あの事件のことを謝りたいというケヴィンのもとへ、シャロンは会いに行くのです。

【孤独な少年と救世主の関係】

舞台はマイアミ。太陽サンサンの明るいイメージが強いけれど、シャロンの暮らす黒人のコミュニティは危険地帯にあります。シャロンは家族とロクに言葉も交わさずに生きてきたから無口。映画が始まってすぐにシャロンの置かれている現状の厳しさと彼の孤独がスクリーンから立ち上がって来て、気の毒でたまらなくなるのですが、そこにフアンという救世主がやって来ます。

父親を知らないシャロンにとって、フアンは父のような存在なんですね。フアン、いい人だ~、出会えてよかった~と思ったら、フアンは麻薬の売人で、シャロンのママにも薬を売っていたのです。ここでまた一気にやりきれない気持ちに。でも救いはフアンも、自分とシャロンが置かれている現状にやりきれない思いを抱いていることです。

フアンを演じたマハーシャラ・アリは、本作でアカデミー賞ほか各映画賞の助演男優賞を総なめにしましたが、そうでしょう、そうでしょう! と思いましたよ。カリスマ性、父性に加えてセクシーなんですよ。ぬくもりと色気の融合! フアンがシャロンに泳ぎを教える海のシーンなど神々しいほど。役に魂が宿るってこういうことなんだと思いましたね。

【徐々にラブストーリーに変化していく物語】

第二部から、幼なじみケヴィンの存在が大きくなっていきます。イジメを受けるシャロンの安らぎはケヴィンです。シャロンは彼に恋をしており、二人は浜辺で思いを通わせて……。シャロンがそれまで自分がゲイであることを自覚していたのか、それはよくわからないのですが、ここで自分の気持ちに正直になります。でもそのあとショッキングな事件が起こり、せっかく幸福な瞬間を迎えた二人の関係が……。

第一部のフアン、第二部のケヴィンといい、シャロンは、なぜ安らぎを感じる相手と未来を繋ぐことができないのだろうと悲しくなります。でもその辛さが第三部で昇華されるのです。カタルシスを感じるというのではないのですが、シャロンはフアンを忘れていないし、ケヴィンとシャロンもお互い忘れられない相手なのです。

【監督と原案者の共通の過去から生まれた作品】

映画『ムーンライト』は、劇作家タレル・アルヴィン・マクレイニーが書いた短い戯曲「In Moonlight Black Boys Look Blue」が原案になっています。この戯曲に出会ったジェンキンズ監督は、自分の過去が甦るように感じたそうです。戯曲を書いたマクレイニーと監督は、同じ公団住宅で育ち、同じ小学校と中学校だったのです。当時、知り合いではなかったそうですが。そして、二人とも母親が麻薬中毒者というのも共通点。運命的なものを感じます。シャロンという人物は、監督とマクレイニーの思いがつまった主人公なのですね。

ちなみに、この映画の製作会社プランBはブラット・ピットの会社。彼の会社は『それでも夜は明ける』もアカデミー賞作品賞を受賞しており、これってすごくないですか。ジェンキンズ監督は「ブラット・ピットは大スターだ。好きな事ができる地位を築いた彼は、あえて興味深いストーリーを語るための会社を作ったんだよ」と語っています。ブラピ、何気に映画界への貢献度大ですね!

全米メディアが2016年のベストムービーにあげている映画『ムーンライト』。映像の美しさ、詩的表現が絶賛されていますが、自分は映画だけど私小説を読んでいるような印象がありました。それは監督や原案者の人生の一部が描かれていたからかもしれません。

この映画はみんなでワイワイ見に行くより、ひとり劇場でジックリと見るのがいいかも。今、映画のことを思い出しながらコレ書いていて、また強烈に見たくなってきました。なんだかジワジワと心に染みる映画です。

執筆=斎藤 香(c)Pouch




『ムーンライト』
(2017年3月31日より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー)
監督:バリー・ジェンキンズ
出演:トレヴァンテ・ローズ、アンドレ・ホランド、ジャネール・モネイ、アシュトン・サンダーズ、ジャハール・ジェローム、アレックス・ヒバート、ナオミ・ハリス、マハーシャラ・アリほか
(C)2016 A24 Distribution, LLC

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